アイワ 第0世代のロゴたち

アイワの歴史


過去、アイワのロゴは何度か変更されました。

第1世代から第3世代まで、リアルタイムで生きてきた方はすべてご存知かと思います。
その程度には有名な会社であったということは誠に嬉しい限りです。

でも実は、有名になる前のロゴも存在していました。

ここではそれらも含め、一連のロゴの変遷を振り返ってみたいと思います。

第1世代  大文字AIWAロゴ

1959年~1991年


アイワをよく知る方たちにとっては、このロゴこそがもっとも馴染みのある、かつ信頼のブランドをイメージするロゴではないでしょうか。

このロゴのもと、マイクからラジオ、テープレコーダー、カセットデッキ、ラジカセ、ミニコンポ、CD、DAT、MD、ビデオ、テレビデオ、モデム、テレビパソコンまで、次々とラインナップを拡充していきました。

このロゴのもと、たくさんの日本初、世界初、世界最小最軽量な製品が開発されました。

このロゴのもと、STRASSERとEXCELIAという2つのサブブランドも持つようになりました。

社員としては、忙しくも充実した時間を過ごしていた時期で、楽しく仕事ができていたと思います。

第2世代 小文字aiwaロゴ

1991年〜2003年


平成に入ると、コーポレート・アイデンティティーなんていうワードが飛び交うような時代になり、折しも創立40周年という節目を迎えたこともあって、アイワも変革を求めてロゴを刷新。
小文字を使ったやわらかい印象のロゴになりました。

よくヤフオクやメルカリなどで「昭和レトロ」と題した古い商品が出品されていますが、小文字aiwaは平成ですから!
ロゴで簡単に判定できますね。

最初は違和感を感じましたが、まぁ、これはこれでよかったのではないかと思います。
いまいち訴求効果が出なかったSTRASSERとEXCELIAを終息して新ロゴに集約したのもよかった。

その後安売りに走り、ブランド価値が下がってしまいましたが、ロゴが悪いわけではなく、バブル後の失われた10年という時代背景や経営戦略に問題があったと言えるでしょう。

残念ながら屋台骨は崩れ去ってしまいました。

そして、2017年に第2次アイワ発足にあたってこのロゴが復活しています。
そちらは第4世代とも言えるでしょう。

 

第3世代 波波AIWAロゴ

2003年〜2008年


ソニーに吸収されてから1年ほど経過し、ソニーのサブブランドとしてあらためてスタートする際に作られたロゴ。
ソニーが作れないような尖った製品を出していく、というアナウンスがありましたが、実際にはソニーの安いほう担当の域を出られず、わずか3年で生産活動を終了してしまいました。

そして5年で消滅。
あっけない幕切れでした。

去った私からしたら、新天地で忙しくしてる隙にいつの間にかなくなってしまっていて、嘆くチャンスすらありませんでした。

 

第4世代 復活! 新生アイワ 小文字aiwaロゴ

2017年〜


かつてアイワの関連会社だった十和田オーディオが、使われなくなった「アイワ」ブランドの商標権をソニーから取得し、2017年4月に2代目アイワ株式会社を設立しました。

この発表を聞いた瞬間は胸に矢が刺さったような気持ちになり、「戻りて~!!」と強く思い、すべてを投げ打ってどんな仕事でもいいので手伝わせて欲しい、と連絡を取ろうとまで考えました。

が、我に返って現在の自分の立ち位置を考えると、若い頃のように好き勝手には動けないことに気付き、たかぶる気持ちを抑え、動きたい衝動を抑え、思い留まりました。

娘からも「戻りたいんじゃない?」と聞かれ、即答で「うん、戻りたい!」とは言いましたが、余計にそう言ってくれる家族を守らないといけないという思いを強くしました。

・・・陰ながら応援していければと思います。

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と、ここまではアイワを知る多くの方が認知しているロゴかと思います。

しかし、それ以前にもアイワにはロゴが存在しました。

商標登録をしていたかどうかは定かではありませんが、創業期に製品やパンフレットなどに使われていたロゴがあります。
ということで、第0世代のロゴ、です。

 

第0世代 丸AIWAロゴ

1952年~1961年

マイクのヘッドやサイド、テープレコーダーのカタログなどの印刷物に使われていました。

そして、第1世代のロゴが使われはじめてからも、しばらくの間、追加ロゴマークとして併用されていました。

ロゴであり、マークでもあった感じです。

あとでわかったことですが、このロゴ、愛興電機時代のロゴをAIWAバージョンに変更したものです。

おそらく、創業者がはじめて考え出したロゴに、愛着を感じていたのだろうと思います。

当時は◯いロゴを使う企業が多かったので、その流れを汲んで考案したのではないでしょうか。

もし、そのまま使い続けていたら、有名ブランドと肩を並べるくらいになっていた、、、かも知れません。

いまも同じロゴマークを使うブランドもあれば、新しいロゴに変えたブランド、ちょっとずつ形を変えているブランドもありますね。

 

第0世代追加ロゴ 筆記体ロゴ

1953年~1960年


主としてマイクに見られます。これはベロシティマイクVM-15。


ダイナミックマイクDM-18のように銘板化されたものもあります。


リボンマイクVM-13ではマイクロホンで唯一、ロゴバッジが本体正面右下に取り付けられました。

ここまで作り込んでいるということは、この筆記体ロゴを第1世代のロゴに、と考えていたのかも知れません。
うん、考えていたに違いない。
でも筆記体ですから、商標登録しづらそうです。
コンピューター時代の現在なら簡単でしょうけど。

そこで逆に角ばった第1世代のロゴを考えたのではないでしょうか。比率などを出しやすいですから。

のちにインナーイヤーヘッドホンのような小型製品も出すようになったので、幅1cmもないようなロゴサイズになることもしばしば。
そんなときでも角ばったロゴは映えます。

ところが調査を進めていくうちに、筆記体ロゴの意図するところは少し違うことがわかってきます。

過去の雑誌などを調べていくと、1960年のラジオ(AR-650, 665)でもこの筆記体ロゴがあしらわれていたことがわかりました。

さらに、1953年9月発売のLP/SPレコード対応クリスタル・ピックアップC-160で、VM-13だけと考えていた筆記体ロゴバッジが使われているのを発見したときは、そんなに前から使っていたかと椅子が倒れるまでのけ反り笑いが止まらなくなりました。
我ながらよくたどり着いたな、と自分で自分を誉めた瞬間でした。

また、1955年5月には「Hi-Fi Amplifier Series」として、真空管アンプを発売していますが、パワーアンプ3機種(A-51, AU-501, A-1501)のフロントパネルに筆記体ロゴバッジがあしらわれています。

これらピックアップ~パワーアンプ、そしてリボンマイクにだけ筆記体ロゴバッジが使われているところを見ると、高級機・高性能機種に絞られていることがわかります。
バッジではなくプリント、という場合でも、主力機・新鋭機種であることは間違いありません。
短波帯を使ったはじめてのワイヤレスマイク(WM-205)が好例です。
ラジオ(AR-650,665)も当時としてはかなり小型で高性能でした。

つまり、松下電器産業の「Technics」、アイワで言えば「EXCELIA」のような、高級ブランドを意識していたのが、愛興電機産業時代の「aiwa筆記体ロゴ」の正体のようです。

ということで、筆記体ロゴが使われていた時期についてまとめると、1953年から使われはじめ、第1世代のロゴを商標登録した1959年終盤時点で製品化が決まっていたのであろう1960年の製品まで。なおかつ高級機・新鋭機に限られる、ということになるようです。

筆記体aiwaロゴが確認できた機種:

ベロシティ・マイクロホン VM-13, VM-15, VM-16, VM-17 (VM-15後期からは第1世代のロゴ)
ダイナミック・マイクロホン DM-17, DM-18 (DM-19は第1世代のロゴ)
クリスタル・マイクロホン M-124, M-127, M-128, M-138, M-139S
ワイヤレス・マイクロホン WM-205-M, WM-205-R
トランジスタ・ラジオ AR-250, AR-650, AR-665
ゲルマニウム・ラジオ AR-153
レコード・ピックアップ C-160, LP-180
Hi-Fi Amplifier Series A-51, AU-501, A-1501

第1世代の追加ロゴマーク

第1世代のロゴを使いはじめてからしばらくの間は、以下に示すロゴマークを併用していました。

第1世代追加ロゴマーク① 横電源ロゴ

1964年~1965年

もちろん電源のつもりはなかったと思います。
マイクロゴをさらにシンプルに丸くしたものと考えられます。

でも、今見ると、右に90度回した電源ロゴ、ですよね~。(^^;
こんなにも時代を先取りしてたなんて、流石だな、アイワ。
ってことで。

今年開催された東京オリンピック TOKYO 2020 の開会式で話題になったピクトグラムは前回1964年開催の東京オリンピックにあわせて日本で考案された、とのことですので、ちょうど時期が重なることからすると、日本ではこのようなマークをつけることがある種のブームだったのかも。


TP-703カタログ


同じくTP-703のフロントパネル

AR-121

AR-121ダイヤル窓の左下にも

オープンリール式のテープレコーダーやトランジスタラジオを手がけはじめた頃は、あのマイクで有名なアイワが作った製品ですよ、と言いたくてロゴマークをつけていたのかな、と思います。

横電源ロゴが確認できた機種:

テープレコーダー TP-61R、TP-703、TP-704、TP-706、TP-708、TP-801
ラジオ AR-121、AR-127、AR-666(初期版)
テレビ 19T-22

第1世代追加ロゴマーク② マイク・ロゴ

1966年~1970年

マイクロホンを図案化した感じのロゴ。
ロゴと並べて使うこともありますが、バラバラに、製品のどこか、カタログのどこか、に使われていることが多い。


1968年発売のTP-1001には積極的にこのロゴが使われています。

同じくTP-1001の取手部分

AR-865のフロントパネル

AR-865の箱

TP-707Pのパンフレット下部

マイクロゴが確認できた機種:

テープレコーダー TP-701、TP-707P、TP-710、TP-739、TP-741、TP-745、TP-1001、TP-1009、TP-1011、TP-1012、TP-1015、TPR-101、TPR-2001
ラジオ AR-141、AR-160、AR-610、AR-614、AR-865
マイクロホン DM-51

 

マイクロゴと横電源ロゴ、どっちが古い?

これがなかなか特定しがたいのです。

例えばマイク。DM-51の箱にはマイクロゴ。

ラジオを見ると、AR-121は横電源ロゴ、AR-160はマイクロゴ。少し後の発売と思われるAR-865もマイクロゴ。

じゃあマイクロゴのほうが新しいんでしょ?
と思うわけですが、オープンリールレコーダーでは、
TP-701はマイクロゴですが、TP-703、TP-704、TP-706、TP-708、TP-801、と横電源ロゴが続きます。
でもTP-1001はマイクロゴ。
型番が発売順とは限らないですが。

丸くしてみたけど、これじゃなんだかわからないでしょ、ってことで戻した、とか。
で、結局わかる人にしかわからないでしょ、ってことでやめにした、みたいな。(^^;
あるいは、もはやマイクより有名だよ、ってことでやめにした、かな。

TP-701はマイクロゴではありますが、TP-707P以降のものと比べると形がいびつで、なおかつバッジになっていることを考えると、別物と考えたほうがいいのかも知れません。
これこそがマイクメーカーとして最初に考え出されて取り付けられたマイクロゴバッジであり、しかしその後カタログなどに掲載するにあたり、扱いやすい横電源ロゴに変更したのではないでしょうか。

さらにここで、有力な情報が。

日本初のコンパクトカセットレコーダー、TP-707P。
有名ですので発売が1966年6月とはっきりしていますが、これにはマイクロゴが使われています。
2年前の1964年に発売されたマガジン50仕様のTP-707は、横電源ロゴです。
TP-707Pと同じ年に発売されたダイナミックマイク初のJIS規格適合認定品、DM-51はマイクロゴ。
翌年1967年発売のTP-1001もマイクロゴなんです。

ということで、平行して利用していた可能性もなくはないですが、1964~65年までは横電源ロゴ、1966~70年はマイクロゴが使われていた、というのが真相のようです。

1968年発売の世界初となるラジカセ TPR-101 にもマイクロゴが使われています。


しかしその後の製品では見かけなくなりました。
もうマイクのブランドイメージに頼る必要はなくなった、ということでしょう。

その他マークなど

アイ坊?アイワくん?

これ、ナショナル坊やの真似だよね~!(^^;

いまだったら販売差し止めの憂き目に遭いそうなものですが、
当時は様々な企業のマスコットキャラクターが乱立していた頃で、このくらいの違いがあれば問題なかったようです。
ナショナル坊やをデザインした岩永泉氏によれば、当時はまだグラフィックスがない頃で、このようなキャラクターなどの制作に携わるための商業美術を学べる「図案科」が美術大学にはあったそうです。

このアイ坊もそうしたデザイナーの手によって描き出されたのだろうと思いますが、1965年ごろのマイクのパンフレットでいちど見たきりで、あまり活躍することはなかったようです。

テープマーク

テープを模したと思われるマークが使われています。

これはカセットテープレコーダーのカタログに使われていたものです。
TPR-205、TPR-401、TP-739、TP-741、TP-745、TP-752A、TP-755、TP-1015、TPR-101の単品カタログに使われています。

ロゴというよりフォント? カタカナ文字

主にカタログなどの印刷物で、特徴あるカタカタ文字が使われていました。

これは1959年に社名をアイワ株式会社に変更した際に使用されていた文字です。

カタログや広告などの印刷物に使われていました。
おそらく、1959年から62年まで使われていたと思われます。
「無線と実験」62年10月号の表紙広告に使われていました。
(当時のラジオ雑誌は表紙の下段、およそ4cm角×4社分を広告スペースとして提供していた。「ラジオ技術」では1964年まで。)
ただ、カタログではもっと早い段階で使われなくなったようです。

もうひとつのカタカナ文字。
マイクロゴとセットで使用されます。
ということは1966~67年ごろに使用された文字です。
さらに、テープマークとも重なっています。
TP-739、TP-741、TP-745、TP-1015、TPR-101の単品カタログに使われています。

 

 

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