カセットオーディオの、アイワでございます!
これはかかってきた電話に出た際に発する、第一声です。
私が入社後の一般社員研修を終え、販売研修のために配属された松戸営業所では、このように応答していました。
朝は活気溢れる営業トークが飛び交い、やがて営業マンは商品を持って販売店廻りに出掛けていきます。
当時はまだコンピューター時代に入ったばかりの黎明期で、JANコードがようやく浸透してきた段階。POSシステムで工場から直送されるようになるのはもうちょっと先のこと。
大量納品する大型店は別として、小売店は営業マンが直接納品してまわっていました。
そのため、大抵の営業所は2階建てで、事務所は2階、1階には倉庫がありました。
営業マンは小売店との関係を築き、電話で注文をもらいます。
その際に先のフレーズで応答するわけです。
ご存知のとおりアイワの製品は商品力がありますので、テレビCMを打たなくても口コミでけっこう売れていましたが、エンドユーザーに接する店員さんの一言は大きな影響を及ぼします。
アイワに電話する度に「カセットオーディオの、アイワでございます!」と言われていれば、カセットだったらアイワかなぁ~、と店員さんも思った、、、かも知れません。
その後、販売研修を終え、東京支店サービス部に配属になった際、かかってきた電話に出ることがあると、「カセットオーディオの、アイワでございます!」と言ってしまうのですが、こちらはエンドユーザーが故障してかけてくる場所なので、カセットオーディオは言わなくていい!と怒られました。
けっこう好きなフレーズだったんだけどな~。
その後半年ほどして、立川営業所のサービス係に転勤になりました。
またあのフレーズが聞けるのかな、と思いましたが、東京サービスにいる間にある変化がありました。
1983年7月、アイワはビデオデッキへの参入を発表。ベータマックスの「AVimax」を販売するようになりました。そのため、ほどなく
カセットAVの、アイワでございます!
にフレーズが変更されました。
んー、、微妙? でしたが、その甲斐あってかAVimax AV-5M 、よく売れたようです。
まぁ、フレーズのおかげというよりは、33cm幅のミニコンポサイズと小型で、マイペースシリーズとのデザイン統一性がいいとか、βHi-Fiアダプタで高音質録再ができたりとか、肩掛けベルトで持ち運びができ、カメラを接続して屋外撮影に使えたり、それでいて格好いいフロントローディングだったり、といったなんでもこなせる仕様が評価されたからであろうと思います。
アイワはいつも、商品力で勝っていたのです。
さらにその後、パソコン周辺機器やテレビパソコンなどのコンピュータ関連製品を販売するようになると、
AVコンピュータのアイワでございます!
カセットAVCのアイワでございます!
のようにだんだんわけわかんなくなって行きました。残念。
伝わらない文言なら、相手の脳裏に焼き付くものでないなら、やめたほうがいいと思います。
コメント