EXCELIA
1987.4~1991.7
アイワのピュアオーディオブランド!
EXCELIA ―優れたもの、越えるもの―
世界初のDATデッキ「XD-001」を発売し、華々しくデビュー!!
EXCELIAの名にふさわしい以下の4機種を排出!
DAT デジタルオーディオテープデッキ
XD-001 1987.4 ¥188,000
カセットデッキ
XK-009 1988.7 ¥99,800
XK-007 1988.7 ¥79,800
CDプレーヤー
XC-007 1988.10 ¥89,800
いづれ劣らぬ名機揃い!
そして、
XK-005 1988.11 ¥64,800
XC-005 1988.10 ¥54,800
その下にランクされる機種も「少しでも音を良くするために」の部分をコストダウンしているため、実利的には十分であり、ハイCP高コスパなお買い得機種となっています。
しかし折り悪く、このあと平成に入るとバブル崩壊を迎え、高級オーディオは下火に。
EXCELIAシリーズもたまらず低価格帯にまで手を出してしまいましたが、小文字aiwaロゴに変わったのを機にシュリンクしてしまいます。
人生ってのは、わからんもんです。
これらの製品が出てから2年が過ぎた頃、ワタクシはサービス部から情報機器事業部に移り、オーディオとは別の道へと歩みはじめたわけです。
そのため、EXCELIAブランド製品の修理を手掛ける機会はあまり多くなかったのがいまとなっては残念です。
XD-001とXK-009,007は何台か治しましたが、XCはサービスマンとしてのワタクシの前には現れなかった。
ですので、令和になってからはじめて手にし耳にしそして驚きました。
映像機器やコンピュータ機器に世間の注目が移り、デジタルオーディオがゼネラルオーディオとなり誰でも手軽に一定程度の音が聴ける環境になったことで、ピュアオーディオは商売にならず縮小していくのが明らかで、そんなタイミングでの異動は運がよかったという見方もできたわけですが、こうしてこんな素敵な製品を目の当たりにすると、離れたのは逆に不幸だったのではないかと思わざるを得ません。
実際にはコンピュータ業界で得たものもかなり多かったので、とても不幸とは言い難いのですが。
それに離れなかったとして、もっと強く関わることができたのか、と言えば疑問ではあります。
先にも書いたように当時すでに下火だったので、世間に翻弄され、おそらくなす術もなかっただろうと思います。
それでもこんな製品に関われたとしたなら、誇りに思えただろうとは思います。
EXCELIAというブランドは、もっと長い時間をかけて浸透させていく必要があったのだろうと思います。
こういう製品を造り続けていけば、間違いなく世界に名だたるオーディオブランドになっただろうし、すでに世界各国に浸透していたアイワのさらに上を取るブランドということになるので、世界でも屈指の超一流オーディオの仲間入りができただろうと思います。それだけの技術は持っていたのだから。
それが。
ちょっと結果が出なかっただけで、あっさり理想を捨て去り、コストダウンに走ってしまったことは誠に残念でなりません。
恥の上塗りをする前にブランドを終息させたのは不幸中の幸いだったと言えるでしょう。
XC-003くらいですかね。EXCELIAにしなくてもよかったのは。003でも当時のオーディオ誌の評価はよかったようですが。
EXCELIAの理想としてはXC-005がギリギリ許せる当落線上でしょう。
なんせ「優れたもの、越えるもの」なんですから。
そもそもどこまで理想を描けていたのかも疑問ではあります。
特に上層部の意識が。覚悟が。
まぁなかったんでしょうね。
年に1機種でいい。
世界一の音を追求した、技術の粋を極めた製品を造る。
そんな理想があったなら。
でも、設計陣の中には確実にそのような意識が共有されていたのだ、と、製品を見ればわかります。
これらは間違いなく、いいものを創ろう、というアイワ設計陣の意識の結晶です。
いまの我々にできることは、この結晶たちを少しでも長く後世に引き継いでいくことなのだろう、と思います。
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