AA-15X
1978年3月発売 16,000円
1978年2月。
TPR-820という、カセットデッキで使用する正立透視型メカニズムを搭載し前面パネルにすべてのボタン・ツマミ類を集約した航空機のコックピットのようなデザインで男心をくすぐる大型ステレオラジカセが発売されました。
このラジカセの単品カタログ(1978.2)に初掲載されたシステムアップ・オプションのひとつがAA-15Xです。
同じく2月には、アイワのカセットデッキの人気を不動のものとしたAD-F80が発売されましたが、F80の単品カタログ(1978.2)にはオプションとしてAA-15Xと同じサイズのオーディオタイマーMT-20が掲載されています。
おそらくこの時点で横幅21cmのミニコンポ、マイペースシリーズの構想は最終段階を迎えていたのだろうと思いますが、一足早く同じボディデザインの製品を世に送り出した形です。
そして、AA-15X、MT-20ともに3月に販売を開始しています。
まだアンプとタイマーだけですが、コンサイスコンポに先行していたのではないでしょうか。
のちにマイペース5と命名されるAA-15Xと同サイズの22シリーズ、S-C22, S-P22, S-R22, AD-L22, SC-E22, AP-D22が秋までに、さらに翌79年にはS-A22, S-V22, MT-22, MIX-22と拡充していきます。
その原点がAA-15Xであったと言えるでしょう。

SONYにもOEM供給され、TA-1500として販売された

LINE入力とスピーカー入力を切り替えるスイッチを用意



AA-15Xの中軸を成す半導体は、日立のモノリシックパワーIC、日立HA1350が採用されました。
AA-15Xの主な仕様を見ると周波数特性は20~20000Hzとずいぶん控えめに設定されていますが、ICのデータシートを見ると周波数帯域幅は5Hz~120KHzまであり、10W,THD0.1%でも10~20000Hzとなっていますので、1977年時点のICがどれだけ優れていたか、これを採用しない手はない、ということだと思います。
安価でも十分な高音質が期待できます。
とてもシンプルなアンプですが、唯一の特徴として2系統ある入力端子のひとつがミニジャックになっており、さらにライン入力とスピーカー入力の切替スイッチがついています。
これは先にも書いたとおり、AA-15Xはラジカセのオプションとして設計されているため、LINE入力だけでなくラジカセのスピーカー出力を接続することも想定した親切設計となっています。
また、L-Rバランスつまみを手前に引くとモノラルになるという、これもあまり見かけない機能が用意されていました。
AA-15Xが発売された1978年当時は、まだまだモノラルラジカセがたくさん出回っていた時期ですので、モノラルをつないでもつまみひとつで両チャンネルのスピーカーから音が出る、という親切設計だったのかな、と思います。
さすがアイワ設計陣!と思わず唸ってしまいました。
● AA-15X 主な仕様
型式:ステレオプリメインアンプ
回路方式:2段差動SEPP回路
出力:15W+15W(8Ω)
高調波歪率:1%以下(定格出力,1kHz)
0.05%以下(6W出力,1kHz)
出力帯域幅:10~25kHz (両チャンネル駆動,1%歪率)
ダンピングファクター:30以上(1kHz 8Ω)
周波数特性:20~20KHz
SN比:90dB(IHF)
入力端子:AUX1 (ピンタイプ)
ライン側47kΩ/150mV
スピーカー側37Ω/370mV
AUX2 (3.5Φミニタイプ)
出力端子:PHONES (6.3Φ標準タイプ8Ω)
スピーカー 8Ω
トーンコントロール:バス±8dB(100Hz)
トレブル ±8dB(10kHz)
使用半導体:2IC, 4ダイオード, 1LED
電源:AC100V 50Hz/60Hz
消費電力:32W(電取法)
寸法:210W×76H×205Dmm
重量:3kg
付属品:接続コード
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